小さいときは、もっと可愛かった。
まさしく天使のようだった。
声も性格も。
それがこのざまか、と侑斗を罵りたい気分だったが、そんなこと知るかと言われるだろうことはわかっているので言わなかった。
「ねえ、侑斗。
私の方が二つもお姉さんだって覚えてる?」
「あー、覚えてる覚えてる。
俺が高校入ったとき、お前は三年で、お前が話しかけてきたのを見て、友達が、お前、あんな綺麗な人と知り合いなのかって言われたから」
あら、と喜ぼうとしたら、
「人によって、本当に価値観って違うんだな、と思ったからよく覚えてる」
「……侑斗、ちょっと来なさい」
「そのパン、今日、賞味期限だから、早く食えよ」
「待って、お金っ」
と閉まりかけたドアに向かって言うと、
「土産だっつってんだろ。
俺はこれから仕事なんだから、呼び止めるな、じゃあなっ」
と行ってしまう。
こんなにたくさん、どうしろと、ととても一人では食べきれないパンの入った袋を覗き込む。
まさしく天使のようだった。
声も性格も。
それがこのざまか、と侑斗を罵りたい気分だったが、そんなこと知るかと言われるだろうことはわかっているので言わなかった。
「ねえ、侑斗。
私の方が二つもお姉さんだって覚えてる?」
「あー、覚えてる覚えてる。
俺が高校入ったとき、お前は三年で、お前が話しかけてきたのを見て、友達が、お前、あんな綺麗な人と知り合いなのかって言われたから」
あら、と喜ぼうとしたら、
「人によって、本当に価値観って違うんだな、と思ったからよく覚えてる」
「……侑斗、ちょっと来なさい」
「そのパン、今日、賞味期限だから、早く食えよ」
「待って、お金っ」
と閉まりかけたドアに向かって言うと、
「土産だっつってんだろ。
俺はこれから仕事なんだから、呼び止めるな、じゃあなっ」
と行ってしまう。
こんなにたくさん、どうしろと、ととても一人では食べきれないパンの入った袋を覗き込む。



