密室の恋人

「また、心にもないことを」
と笑うので、いやいや、と言うと、

「じゃあ、凛子ちゃん、僕と付き合う?」
と言ってくる。

 はい? と思ったとき、屋上の扉が開いて、何人か男性社員がやってきた。

「あれ? 上村」
と言ってきた彼らに、弥は手を挙げる。

 どうも、同期のようだった。

「此処に居たのか。
 あ、総務の子だよね?」
とこちらを向いて彼らは言ってきた。

「そう。
 凛子ちゃん」

「デート?」
と誰かが笑い、弥が、

「そう」
と勝手に肩を抱いてくる。

 いや、そうじゃないですよっ、と思いながら、肩に回った手を見ていると、弥はすぐにその手を離し、
「嘘嘘。
 凛子ちゃんは、伊月くんの彼女だよ。

 ちょっと、相談に乗ってただけ」
と笑った。

 いや、乗ってたの、私じゃないでしょうか。

 そして、誰が蒼汰さんの彼女なんですか、と思っていると、弥がその表情を読んだように耳打ちしてきた。