密室の恋人

 


 屋上の強い風が吹き付けてくる。

 その強風のせいか、今日は屋上に人は居なかった。

 弁当を広げたら、いろいろと飛んでいきそうだ、と思った。

 弥は手すりまで行き、下を見ている。

「怖くないですか?」
と言うと、

「凛子さん、高所恐怖症なの?」
と振り返り、言う。

「じゃあ、来て」
と言うので、なんの罰ゲームだ、と思った。

 そういえば、この人、笑顔でいつも言うことは、クールだからな。

 笑顔のまま、いじめられそう、と思いながら、凛子は、余計な話をしたことを後悔していた。

 それでも、側まで行き、下を見る。

「いやー。
 高所恐怖症じゃなくても、このくらい高さがあったら怖いですよ」

「じゃあ、下見なきゃいいのに」
と並んで見ている弥は言うが。

「でも、此処まで来たら、見なきゃって感じです」
と言うと、

「凛子ちゃんは、余計なことに首突っ込んで殺されるタイプだね」
と笑って言う。

 今、殺られそうです……、と引きつり笑いを返した。