密室の恋人





 結局、弥も混ざった状態で、デートの話をすることになった。

 もちろん、余計なことは言えないので、電車に乗って、港まで行って、夜景を眺めながら食事をした、というところまでだが。

「へえー、伊月様は電車派なんだ?」

「あれっ?
 でも、いつも、なんかすごい車で来てるよね?

 呑むから?」

 確かにすごい車で来ている。

 だが、あの車も蒼汰にとっては、かなり抑え気味に庶民を装って買ったのかもしれないと今、気がついた。

 まあ、好みの問題もあるかもしれないが。

 呑むから、電車だったの? と問われ、
「そうかもねー」
と適当に答える。

 弥のアドバイスの話は出来ないし、蒼汰が電車好きだという話は、何故か今、したくなかった。

 弥はずっと笑って聞いていて、島や船のことを話さないことには突っ込んでは来なかった。

「でさ、食べてるときって、伊月様となんの話してたの?」

「え?
 会社のこととか、……そうだ、上村さんのこととか」

「えっ、僕? なんで?」

「いや、上村さんって面白い人ですよねーとか。
 あ、すみません」

「いや、確かに、上村は面白い!」
と豪快に口を突っ込んできたのは、千尋だった。