「知ってるよ」
と弥が微笑むと、

「やだ、そうなんですかっ」
と勝手に話が盛り上がっている。

「僕も一緒に聞かせてもらおうかな、その話」

 や、やめてください、と思っていると、千尋さんが両の腰に手をやり、
「上村、なに混ざってんのよ」
と言う。

「いいじゃん。
 僕も聞きたい。

 楽しそうでしょ、伊月くんと凛子さんの話なんて」

 あ、そういえば、この二人って、同期なんだっけ、と思い出した。

「そうですよ。
 ぜひ、ご一緒に」
と最早、女子軍団の興味は、目の前のイケメンに移ってしまったようだ。

 自分と蒼汰の話は、既に、弥と一緒にご飯を食べるための餌になってしまっている。

 いっそ、この隙に逃げたい、と思っていたら、弥と目が合った。

「……美味しそうですね、そのワカメおむすび」

「今、作りたてみたいだよ。
 一回、切れたみたいで」

「あっ、じゃあ、私もお蕎麦とワカメむすびにします」

 もう、いいから、早く買いなさいよっ、と美晴に背を押された。