密室の恋人

 まあ、隠してもしょうがないので、

「電車に乗って、船に乗って、無人島に行きました」
とコンパクトにまとめて言うと、

「……庶民的にしろって言ったのに、電車までが限界だったんだねえ」
と笑う。

「もう~、面白がらないでくださいよ」

「いやいや、でも、彼の人となりがわかって良かったでしょ?
 無理って続かないしね」

 この場合の無理って、普通の人みたいにするってことだろうかな、と思った。

「どうする?
 伊月くんと結婚する?」

「無理ですよ〜。
 上村さんは、そ……伊月さんのことは」

 ああ、知ってるよ、と軽く言う。

「だって、結構バレバレじゃない。
 金銭感覚おかしいし」

 それで、局長に訊いてみた、と言う。

「……ですよね。
 でも、本人、あれで結構普通にしてるつもりみたいなんですけど。

 伊月さんは悪い人じゃないですけど、ああいうおうちは私は無理だなあ」

「いやいや、人を生まれや育ちで差別してはいけないよ」

 なんか逆な感じですが、と思いながら聞いていた。

 そのとき、パパッと蛍光灯が瞬いた。

 あれっ? と凛子は上を見上げる。

「切れかけてるのかな?
 そういえば、このエレベーターってさ」