密室の恋人

 え、えーと、いや……。

「わかった。
 行ってやろう」

「だから、なんなんですか、その上から目線〜っ」
と言ったとき、蒼汰が開いたままのドアに手をかけ、口づけてきた。

「……おやすみ」

 そのまま、扉が閉まる。

 なんか、まずいな、とようやく思った。

 普通に恋人同士のように過ごしてるような気がーー。

 一瞬、間を置いて、扉を開けた。

 そういえば、見送らなくていいのだろうかと思ったからだ。

 すると、蒼汰は扉の横に立っていた。

「なに隠れてるんですか」

「いや、帰らないでとか言わないのかな、と思って」

「言いません~っ。

 でもーー
 下までは見送りますよ」

 二人で、階段を下りていると、ふいに蒼汰が言った。

「此処、エレベーターがあるんだよな」
と。

「うちは二階なんで使いませんけどね。
 ……乗ってみますか?」

 嫌だ、と蒼汰は言う。

「会社のエレベーター以外でもあの人が現れるのか気になるんですが」

「またの機会にな」
とそっけない。