密室の恋人

「私も猫好きです。
 犬も好きですが。

 猫は昔飼ってたので。

 今でも、時折、にゃーのとは違う毛が何処からともなく出てきて、寂しくなるんですよね」

「……死んだのか?」

「違います。
 お母さんたちが連れてっちゃったんですーっ。

 猫は家につくって言うのに〜っ」
と言うと、笑う。

「それならよかった」

 まあ、会ったことなくても、話の上でも、猫に死なれるのは嫌だからな、と思った。

 そういえば、あのエレベーターの人も、霊ってことは、死んでるんだよな、とちょっと思った。

「猫好きなら、今度、にゃーが来てるときに来ますか?」
と言うと、

「あいつの猫だろうが」
と嫌な顔をする。

「まだ仔猫で、めちゃくちゃ可愛いですよ。
 こう、まん丸な目で、じっと私を見つめるんですっ。

 猫パンチとかされたら、卒倒しそうになります」

 そのあとも、猫の話をしばらくしていて、蒼汰はそろそろ帰ると言い出した。

「お弁当もご馳走になっちゃってすみませんでした。

 今度は私が奢りますね」
と玄関扉を開けた蒼汰に言うと、彼は振り返り、笑って言った。

「それはデートのお誘いか」