密室の恋人

「一昨日と昨夜、お預けにした分、今、此処で取り返してもいいんだぞ」

 やはり、こんなケダモノを家にあげてはいけなかったか。

「そ、それは感謝してますけど」
と言いながら、感謝するところだろうか、とも思ったが。

「まあ、手を出さなかったのは、俺が嫌だったのもあるけどな」
と蒼汰は言った。

「酔って記憶がないときが初めてって言うのは、お前も嫌だろうが、俺も嫌だから」

「そんな情緒もあるんですね」

「……常日頃から、お前よりはあると思うが、どうだ?」

 そこで、蒼汰は、ん? と気づいたように言う。

「此処、猫が居るのか?」

 クッションに、にゃーの毛が付いていたようだ。

「ああ、すみません。
 この間、侑斗から預かっていた、にゃーの毛です。

 猫の毛って、なかなか。

 猫が居なくなっても、完全に猫の毛がなくなるまで、何年もかかるらしいですね」

「なんだ、此処に居るんじゃないのか」
と蒼汰は、つまらなさそうだ。

「居たら、もう出てきてますよ。
 猫、好きなんですか?」

「だって、可愛いじゃないか」

 単純明快だな、と思った。