密室の恋人

 ああ、いい香りだ、と珈琲を機嫌よく飲んでいると、食べ終わった蒼汰は頬杖をついて、微笑んでこちらを見ている。

「な、なんなんですか」
と赤くなる。

「いや、ところで、式は何処でやる?」
と訊いてきた。

「なんの式ですか?」

「結婚式以外になにかあったか?」

「そ、壮行式とか?」

「なんの大会に出る気だ」

「その話はまだ続いてたんですね……」

「なんで、俺が此処に居ると思ってる」

 お前と結婚するためだ、と言い出す。

「やっぱり、私を叔父さんとの対決に利用しようとしてるんじゃないですか」

「いや、素直に考えろ。
 俺はお前と結婚したいだけだ。

 たまたま、あの場に居たから、ちょうどいいと思って、あのタイミングで言っただけだ」

 結婚は勢いとは言うが、もっと違うタイミングがよかったんだが、と思ってしまう。

「あの、蒼汰さんは、なんで、私と結婚したいんですか?」

「何度も言わなかったか?
 好きだからだよ」