密室の恋人

 



「意外に綺麗にしてるな」

 部屋に入った蒼汰が珍しく褒めてくれたが、凛子は渋い顔をしていた。

「どうした?」
と訊きながら、スイッチを探して、電気をつけてくれる。

 少し暗くなってきたからだ。

「なんで、侑斗、あんなに機嫌が悪いんだろう。
 この間は、親切に送ってくれたのに」

 そう愚痴ってみたが、
「莫迦か、お前は」
と呆れたように言われる。

「あいつ、親切で送ってきたわけじゃないだろ。
 お前がどんな男と会うのか見に来ただけだ」

「え?」

「あの男、お前に気があるんだろ?

 今まで気づかなかったのか。
 俺は一目見た瞬間に、わかったぞ。

 値踏みするように俺を見た後、頭下げながら睨んだからな」
と何故か威張ったように言う。

「いやー、それはないですよー。
 侑斗結構モテるし。

 今も彼女が……居るんだか居ないんだか、よくわかんないですけど。

 でもまあ、姉弟みたいに育ってきたから、そういう意味で、嫌なのかもしれないですね」
と言うと、

「お前は呑気だな」

 よく今まで無事にやって来れたな、と言われる。