密室の恋人

 



 蒼汰は結構がっつりとした内容の弁当を選び、凛子は、女性向け雑誌とタイアップしているお弁当を選んだ。

 珈琲と弁当を買いに並ぶと、侑斗の父がレジに居た。

「やあ、凛子ちゃん、今日は仕事じゃないよね」

 職場から此処に買い出しに来ることがあるせいか、そう訊いてくる。

「じゃあ、彼氏?」
と笑って言われ、

「ち、違います。
 会社の先輩ですっ」
と手を振り言った。

 客に言われて奥の煙草を取っていた侑斗がこちらを見たが、目つきが冷たい。

 なんなんだろうなあ、もう、と思いながら、レジを打ってもらう。

「ああ、会社の方ですか。
 そういえば、時折、お見かけしますね。

 いつも凛子ちゃんがお世話になっています」

「ああ、いや、こちらこそ」

 普段の態度はデカイが、一応、営業なので、こういうときは、蒼汰も愛想よく会話をしている。

 しかし、話が横滑りして、蒼汰は、あまりコンビニ弁当は食べない話までし始めてしまった。

「油物が多くて、身体に悪いから食べるなと槙村がーー」

「なに堂々とコンビニのレジでのたまってるんですかっ。
 す、すみませんっ、おじさんっ」
と頭を下げると、

「いやいや。
 最近は、健康志向だよ。

 凛子ちゃんが今、持ってるやつとか」
と店長は言う。