密室の恋人


 



「蒼汰さん。
 私も操縦してみたいです」

 帰りの船の中、操縦席に座る蒼汰を後ろから見ながら、凛子はそう呟く。

 は?
と言った蒼汰だったが、

「相変わらず、面白いことを言い出すな。
 まあ、お前なら意外とすぐ免許取れるんじゃないか」

 莫迦じゃないから、と言う。

 意外とは何処にかかるんだろうな。

 莫迦じゃない?

 じゃ、最初の想定は、莫迦だったことになるんだが、と思いながら、青空を見上げた。

 いい天気だなあ。

 少し早めに帰ってよかった。

 夜景も綺麗だが、明るい日差しの中、海と空を眺めて走るのは爽快だ。

 ……日焼けしそうだけど。

 ちょっと手で日差しを遮ってみたりしていると、蒼汰が笑って言った。

「中に入ってたらどうだ?」

 いえ、と言って、そのまま、海を眺める。

 船内より剥き出しの此処の方が、風も飛んでくる飛沫も感じられるし、海も空も鮮やかだ。

 日焼けを気にして、これを見ないなんてもったいないと思ったのだ。

「お前は、後先考えないタイプだな」
と笑われる。

 そうですよ。
 だから、こんなところに居るんじゃないですか。

 そう思いながらその言葉を聞いていた。