密室の恋人

「あの、帰ってどうするんですか?」

 蒼汰に手を引かれ、屋敷に戻りながら言うと、
「お祓いに行くのに決まってる」
と言われた。

 思わず足を止めてしまう。

「なんでですか!?」

「なんでって、俺になんだかわからない霊が憑いてるんだろう?

 だったら、祓うだけだ」

「だって、あの人、蒼汰さんと同じ顔してるんですよ。

 あれも蒼汰さんかもしれないじゃないですか」

「でも、そいつ、俺とは、まったく人格が違うんだろうが」

「いい蒼汰さんかもしれません」

「じゃあ、俺は悪い蒼汰さんか」

「すっ、すみませんっ。
 ぱっと見で判断してしまいましたっ」

「……何度も言うようだが、フォローを入れようとするな。

 お前の場合、ドツボにはまってくだけだから」

 俺には二重人格になる理由なんぞない、と蒼汰は言う。

「ちなみに、双子でもなかったから、双子の霊が憑いてるとかないぞ。

 ともかく、知り合いの寺か神社にでも行って、その悪霊を祓ってもらえばすむ話だ」

「ええっ。
 蒼汰さんの方が祓われたらどうするんですかっ」

 誰が悪霊だ……、と言ったあとで、蒼汰は言う。