密室の恋人

「あの、蒼汰さんって、双子だったりします?」

「なんでそんなことを訊くんだ?」

 こちらを見ずに、蒼汰はそう訊いてくる。

 答えに困っていると、蒼汰は顔を上げ、遠く、木々の向こうの空を見上げた。

 風に蒼汰の髪が少し揺れる。

 本当に綺麗な顔だな、とその横顔を思わず見つめてしまう。

「なんで、此処にお前を連れてきたと思う?」

「えっ?」

「……エレベーターがないからだよ」

 蒼汰と握り合っていた手が緩んだが、蒼汰がそれを補うように強く握ってくる。

 止まりそうになる足が、蒼汰に引っ張られて前へ出た。

 林を通り抜け、浜に出た。

 嵐のせいか、流木などの漂着物が増えていたが、船は無事だった。

 昨日、風呂で聞いた言葉は聞き間違いではなかったのだ。

『そうだな。
 俺もよかったよ。

 此処には、エレベーターがないしな』

「蒼汰さん」

 蒼汰が手を離し、振り向いて言う。

「お前の知っていることをすべて話せ。

 お前にはなにが見えている」