密室の恋人

「そういえば、蒼汰さん、不自由じゃなかったですか?

 誰も居ないし、私は気が利かないのに。

 いつもは使用人の人がたくさん家に居て、ははーっ、ていろいろしてくれるんじゃないんですか?」

「……お前は、おかしなドラマの見過ぎだ。

 ははーってなんだ」

 誰もそんなこと言わないぞ、と笑われた。

 確かに、蒼汰は庶民の自分以上に、なんでも小器用に出来るようだから、なんでも使用人任せというのではないのだろう。

「蒼汰さんって、コンビニとかにも、あんまり行かないイメージがあるんですが。

 そうだ。
 駅まで乗せてきてくれた侑斗、会社の近くのコンビニで働いてるんですけど、蒼汰さんが、お弁当の棚の前から、なかなか動かなかったって言ってましたけど。

 珍しかったんですか?」

「よく見てるな」
と呟いたあとで、

「まあ、ちょっと珍しかったかな」
と言う。

「コンビニに行かないわけじゃないが、弁当は食べたことがなかったんだ。

 珈琲なんかはよく買うぞ」

「最近は、何処のコンビニも珈琲のいい香りがしますよね。

 買わなくても、匂い嗅いだだけで、ちょっと幸せになるっていうか」
と言うと、

「お前は本当にちょっとしたことで幸せになるな」
と言われた。