「あっ、霰……っ!? 今っ……え!?」
雫は未だに状況が飲み込めなくて混乱している。
「……っ、じゃあな!!」
俺は家に走った。何やってんだよ俺……なんで雫にキスしたんだ……!?月曜からどんな顔で会えばいいんだよ……!!俺は家のドアを思いきり開けて自分の部屋へ走った。なんか俺が俺じゃねぇみてぇだ……。そう思っていると、俺の部屋のドアが開いた。
「霰。何なんだよ、帰ってくるなり自分の部屋に急いで……」
「ごめん、兄貴……」
俺の兄貴、時雨は23歳で顔立ちが良く、頼れる兄だ。
「そうだよ、何かあったのか?」
時雨の後ろからきたのは雹牙。見た目は金髪で右耳にピアス、身体にはタトゥーをしていて怖そうだけど、とても優しい面がある。
「あ! 霰兄さんおかえり! どうしたの? 皆集まっちゃって」
そしてコイツは末っ子の雪明。髪が肩のスレスレまでのびていて、女子みたいだ。『男の娘』というのは雪明のような人のことをいうのだろう。
「兄貴達に相談があんけど……」
「霰が相談してくるなんて珍しいな。なんでもいっていいぞ!」
「実は女子にキスしちまったんだ。……なぁ、どうすりゃいいと思うか?」
「「「どうって……」」」
「今まで通り仲良くすりゃいいじゃん」
「そうだよ、何もなかったかのように、な」
「うん! 僕も中3でそういう事あったし!」
「「雪明は今も中3だけどな」」
「えへへ……まあ、女の子の気持ちになって考えてみたら?」
「女の子の気持ち……。ありがとな、相談のってくれて」
「いいんだよ、別に。じゃあ俺らは部屋に戻るか」
そういって3人は俺の部屋を出ていった。