【霰side】
俺は昼食を食べ終えて教室で友達と喋っていた。
「そういえばさぁ、あの黒板に貼られていた写真ってマジなの? 霰」
「女子すげぇ怒ってたよなー」
「で? どうなんだよ霰」
「……ちょっと散歩してくるわ」
俺はそういって教室を出た。どうしようか。いくところがないから空き地で子猫と遊ぶか。そう思って階段を下っていると、前から歩いてきた女子2人が話している声が耳に入ってきた。
「ねぇ、さっき噂の女の子が愛美ちゃん達に話しかけられてたけどさ……」
「うん……愛美ちゃん、怒ると怖いよね。ヤバそうじゃない?」
“噂の女の子”って、雫……?それに愛美達って……、まさか……!!
「おい、愛美達はどこにいったかわかるか!?」
「「え、王子……!?」」
「早くしろ!!」
「えっと、屋上!! 屋上にいきました!!」
「ありがとな!」
俺は急いで屋上へいった。ドアを思いきり開けると、雫の近くに鉄の棒が転がっていた。見たところ、気を失っているだけで目立った傷はない。
「おい、雫!!」
「……うっ……ん……。霰……?」
「雫!! 大丈夫か!?」
「うん……女子達に鉄の棒で頭を叩かれて……」
「そっか……アイツには謝るようにいっとくから。ごめんな雫……。授業出れそうか? 保健室いくか?」
「ううん、大丈夫。……ありがと、霰」
そういって雫は教室へ戻っていった。もう二度と雫を痛い目に遭わせたくない……。俺が雫を守るんだ――。