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Side龍樹


「…んだよ。あれ…」


顔を真っ赤にして走って屋上を出て行ったアイツ。



……かわいすぎだろ。



俺の心臓壊す気かよ。



あいつが出て行った扉の方を見つめながら、霧長と出会った日を思い出す。





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中学三年の夏休み頃。


「龍樹~、ちょっとスーパー行って卵と牛乳買ってきて~」

「ああ? めんどくせ―な」


自分で行けよ。



その日、とくになにをするでもなく家で適当に過ごしていた俺は、母親に買い物を頼まれた。


「あんた誰に口聞いてるつもり?」


母親がナイフを持ちながら言ってくる。



….こえーよ。


母親がもってるナイフに若干ビビりつつも、


「仕方ねぇから行ってやるよ」


と言って、いやいやながらに準備をする。