私は彼女に持ってきたときよりも少し氷が溶けてしまった保冷剤を、タオルにくるんで渡す。
「はい。これで目、冷やして」
「ありがとう」
そう言って受け取った理紗ちゃんは、廊下で見た時の顔で、とても綺麗に笑ってくれた。
「はやく帰るぞ。二人とも」
今までほったらかしにされて、黙っていた龍樹がほったらかされたことに対して怒ってるのか、不機嫌そうに言った。
「うん。だけど龍樹、私、今日は理紗ちゃんと帰るから」
「ああ?」
龍樹は鋭い目つきで睨んできた。
…うう、怖い。
そんなに睨まなくても….。
「だ、だって、理紗ちゃんのこともっと知りたいから….」
怖くなり少し噛みながら言うと、
「はぁ、わかったよ。今日だけな。その代わりに明日からは一緒に帰るぞ。最近、優乃不足で死にそうなんだから….」
頬笑みながら言う龍樹。
「うん。ありがと、龍樹」