「だから、私のことが許せなくて、こんなことをしちゃったんだよね?」
「うん。私、龍樹のことが入学したころから好きで…..。ずっと龍樹のことだけを見てきたのに、あんたにとられて悔しくて……….」
そう語る彼女の目から再び涙が零れてきた。
私はそんな藤野理紗ちゃんのことを優しく抱きしめて、頭を撫でた。
「わかるよ、その気持ち。悲しかったんだよね?苦しかったんだよね?ずっと、好きだった人が他の人にとられて……」
「…..うん」
涙声でうなずく理紗ちゃん。
その声からはたくさんの苦しみや、悲しさが感じられて、私まで涙があふれてきた。
「私にもね、あるんだよ。そうゆう経験。苦しくて、悲しくて、どうすればいいか、わからなかったんだよね?」
「….うっ、うんっ…...ヒック」
私に抱きしめられながら、答える理紗ちゃんが本当は心の優しい人だってこと、私は既に知っている。
だいぶ前に、島根くんが転校してきたときに、
廊下で転んだ女の子がいた時があったけど、その時に手を差し伸べた女の子は、多分藤野理紗ちゃんだと思う。
だいぶ前のことだったから、忘れてたけど、今思いだしたんだ……。



