すると香帆ちゃんは、もう一度大きな声でこう言った。
「嫌だ!私、謙太くんのこと好きだもん!!絶対に離れたくない!」
…….やっと、本音が聞けた。
作戦では、ここらへんで謙太くんが出てくる予定だけど、出てくる気配がない。
しょうがない、最終兵器を使うとするか。
ごめんね….香帆ちゃん。
もしもあたってしまったらいけないから、あらかじめ心の中で謝っておく。
なるべく、痛くならないようにするから…..。
ごめんなさい…..。
私は手を振り上げて香帆ちゃんの頬めがけて、ビンタをしようとした。
―――パシッ。
でも次の瞬間、聞こえたのは、何かを掴むような音と手に感じる暖かさ。
村澤くんが出てきて、私の手を止めたのだ。
「俺の好きな女に何してんの?」
低くて聞いたこともないような、怒った声。
……やっぱり、出てきてくれた。
私の最終兵器とは暴力のことだ。
暴力は好きじゃないし、むしろ嫌いだが村澤くんは私が暴力をふるう直前で出てきてくれた。
私の聞きたかった言葉でもあり、香帆ちゃんに聞かせたかった言葉とともに。



