確かに見たことがあるような気がするけど、わからないし。


「私、島根くんのこと知らないけど…」

「ホントに覚えてないの?」

「うん」



そう言うと島根くんは何か考えた後、私の手を引っ張ってきた。


「ちょっときて」

「え、あ、あのっ、もうすぐ授業が….」


授業が始まっちゃうよ。


と言おうとしたけど言えなかった。


周りからの視線がすごい。


とくに女の子達からの視線が。


すっごく、睨まれている。


だけど、そんなことお構いなしの島根くんは、私の手を引っ張ると教室から出た。