「ねぇ、龍樹…」
先に沈黙を破ったのは私のほうだった。
「渡したい物があるんだけど…」
そう言って私はカバンの中から、お昼のときに渡せなかったコーヒーを取り出す。
「これ、お昼のときに購買で龍樹のこと考えてたら見つけて…」
私は顔を赤くしながら話す。
「…」
「よかったらこれ」
コーヒーを龍樹の前に差し出して龍樹のことを見つめる。
だけど、龍樹は差し出されたコーヒーをじっと見つめてなにも言わない。
「龍樹…?」
「なあ、俺がお前のこと好きかどうか、教えてやろうか?」
「…えっ?」
―――グイッ
コーヒーを持ってる手を引っ張られ引き寄せられる。
「俺、お前のことが好きだ」
耳元でささやかれた言葉に、顔にさらに熱がたまっていく。