「花? また見えるの? どこ?」 「ほら、あの花。最近さ、よく見るんだよね」 「どこよ?」 「だから、ほら、あの壁際に……」 真貴子から花へ視線を移して、あたしは無言になった。 「花なんてどこにも咲いてないけど? やっぱり怜奈の見まちがいじゃない?」 「…………」 まただ。 また、消えた。