あたしはスカートの中にあるチケットを指先で確認した。


これは偽物のチケットだ。


渡しても、松田さんが当日来なければいいだけだ。


でも……これで、彩美をぬいた5人がそろう。


そう思うと、自然と手が震えていた。


「あたしにも、同じチケットをくれない?」


松田さんの声が鼓膜を揺るがす。


だめ、渡しちゃだめ。


松田さんはこれから幸せにならなきゃいけない。


辛い思いをした分、笑ってほしい。


頭の中でそう繰り返しポケットから出しかけたチケットを、元に戻す。


「あたし、平気なふりをしてたけど本当は寂しかったんだ」


あたしは松田さんを見た。


彼女は少し目を伏せて、だけどとても穏やかな表情をしていた。


「こんな自分と仲良くしていると、相手の子まで悪い噂が立ってしまう。


だから、仲良くしたくてもできなかった……。こうしてクラスメートの子と会話ができるなんて、思ってもいなかった」