「ねぇ、待って」


松田さんの声に反応して手が止まる。


振り返ると、前髪をかき上げる松田さんがあたしを見ていた。


「最近学校に持ってきているチケットって、一体なに?」


その質問に、あたしの心臓はドクンッと大きく跳ねた。


「……別になんでもないよ」


自分の声がか細すぎて、自分自身が驚いた。


「……あたしには関係ないか」


松田さんが呟く。


『クラス写真を撮った時からわかってたから。あたしがあのクラスに馴染めない事くらい』


松田さんがついさっき言ったセリフが蘇る。


「関係なくないよ!」


思わず、そう言っていた。


言った瞬間ハッとする。


松田さんは驚いたようにあたしを見てそしてほほ笑んだ。


すごく、嬉しそうに。