絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②

「《mother》から出た後、周囲の人間は何事もなかったようにいつも通りに暮らしていた。

俺が1日家に戻らなかったのは、友人の家に泊まっていたからだと思われていた」


そう言われて、あたしは昨日の出来事を思い出していた。


お母さんは、あたしが宿泊合宿に行っていたと思っていた。


「《奴隷部屋》にいた人数を見ただろう? あれほどの人間たちが一気に街からいなくなっていても、ニュースでは何も触れていない。


クラスから5人消えたくらいで問題になるとは思えない」


「……それじゃぁクラスメートから5人全員を選ぶんですか?」


「朱里ちゃんには辛い思いをさせるかもしれないけれど、俺はそうした方がいいと思う」


優也さんの目が優しくなる。


あたしをいたわってくれているのがわかる。


あたしは……クラス写真に視線を落とした。


手にはジットリと汗が滲んでいて、心臓は通常の倍の速さで動いているのがわかる。


37人の中から、5人。


あたしの視線は自然と賑やかなクラスメートへと注がれる。


自分とはあまり仲良くないグループ。