お昼を過ぎた今お客さんは少なくて、男性の姿は3人ほどしか見られない。


優也さんがトイレから戻ってきた後、男子トイレから出て来た人はいない。


つまり、珍しくトイレが混んでいたと言うのは嘘なのだ。


あたしは優也さんの後ろをついて歩きながら、そのズボンのポケットを見た。


乱雑に押し込まれている茶色い封筒が、少しはみ出て見えている。


間違いない。


優也さんはトイレで封筒の中身を再確認していたのだ。


これから自分がどう動けばいいか、考えているのだろう。


どっちにしろ、あたしにその封筒の中身を確認する手段はない。


素直に『見せて』と言っても、きっと無理だろう。


だから、考えるしかないんだ。


優也さんが今までとってきた行動すべてを思い出し、そして見つけ出すんだ……。