あたしはその後ろ姿を見送り、そしてテーブルに置かれたままになっている優也さんのスマホへ視線を写した。


自分の手が自然とそのスマホへと延びる。


翔吾のスマホを確認した事もないあたしがこんな事をするなんて思ってもいなかった。


優也さんの手元を盗み見て覚えたパスワードを入れて、スマホを開く。


メッセージやメールを確認してみると複数の女性の名前がずらりと並んでいて、それのどれもが愛を語るような内容のものばかりだった。


ある程度予想していたものの、これほどの量だとは思っていなかったためため息が漏れた。


ショックじゃないと言えばウソになる。


ほんの一瞬でも本気で好きになった相手だから、やはり胸の奥がうずくような痛みに襲われる。


しかし、メールを確認していくとその大半が女性にお金を請求する内容へと変わって行っていた。


愛の囁きのあと、女性の同情を買うような不幸な出来事があったと説明し、少しでもいいから助けてほしいと書かれているものがほとんどだった。


優也さんはこうして女性から金を巻き上げ続けていたため、下位レッテル者になったんだ。


あたしは優也さんのスマホを閉じて元に戻した。