プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負

一輝くんを見上げるけど、まったく目を合わせてくれない。


「あんまり待たせるのも悪かけん、はっきり言ってもよかですか」


やっと目が合ったかと思えば、やけにせっぱつまった一輝くんの顔に、得体の知れない不安感が胸を覆っていく。

なんで?イイ感じだと思ったのに、あたしこんなところでフラれるの?

......やだっ!


「あ、ごめんなさい」

「い、いえ。大丈夫ですか?」


会社帰りのサラリーマンや、制服姿の学生でこみ合ってる電車の中。

一人あせっていると、急に電車が揺れて、隣のサラリーマンにぶつかってしまった。


二十代後半くらいかな?
こんなに暑いのに、スーツでご苦労様だ。

そのサラリーマンと目が合うと、胸元に視線を感じたので、一瞬、一輝くんから気がそれる。


まあ、あたしハデだから電車で見られたり声かけられたりはよくあること。

一輝くんと一緒に帰るようになってからはさすがに声かけられたりはほとんどないけど。


そんなことを考えていたら、横にいた一輝くんに腕をひかれ、人混みから隠すかのように壁際に追いやられ、一輝くんの腕の中。


「ふらふらしとうと他の人に迷惑やけん、ここにおってください」


......。
迷惑、ね。

確かに今日新しく買ったミュールはいてきたら、バランスとりずらくて、あたしふらふらしてたかも。


あたしを見下ろす一輝くんに言われたことにちょっと反省しながらも、もしかしてこのハプニングで、さっきの告白の返事流れた?とこっそり喜ぶ。

どさくさにまぎれて忘れてくんないかな、一輝くん。