「良い試合だった」
「みんなよくがんばった」
「銀月館相手にあそこまで健闘するとは思わなかった」

「......今まで応援していただき、ありがとうございました」


試合が終わったあと、保護者の方にこぞって優しい言葉をかけていただき、敦士たちと一緒にしっかりと頭を下げる。


二回戦敗退、どんなに良い試合内容でも、結果として敗北したあたしたちは、三年生は今日で引退。

感傷にひたる暇もなく、甲子園球場からバスで地元まで帰ってきたら、もうすっかり日が暮れている。


「色々話したいこともあるけど、みんな疲れてるだろうから今日はこれで解散な。また後日、おつかれ会の時にじっくり話そうぜ。じゃ、お前らおつかれ」


バスの中で先生の話や、三年から二年への引き継ぎはすませ、後はもう帰るだけ。

また改めておつかれ会をやる話だけ軽くしてから、敦士の号令により解散となった。


「師匠、マジでいなくなっちゃうんですか?
俺、明日からどうやって生きていけばいいんですか」

「あー、はいはい。
またおつかれ会でね。あたし急いでるから、また!」


さっそく絡んできた森村を華麗にかわすと、先に部室を出ていってしまった一輝くんを追いかけ、全力ダッシュ。