プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負

一見全然堪えてないように見えるけど、なんだか秀が早く終わらせよう早く終わらせようと勝負を急いでいることが、あたしには手にとるように分かる。

だてに小さい頃から一緒にいたわけじゃない。

ラフプレーまがいのことしてきたり、ボール後逸したり、こんな秀を見るのは初めて。

マウンドにいるピッチャーの裕貴よりも、秀の方がずっと苦しそうに見えるよ......。


「ワンナウトー!あとふたつ、丁寧にいこう!」


アウトカウントを増やして、指を一本立てて大きな声で呼びかける秀はいつも通りなんだけど、やっぱりその背中に焦りがあらわれていることがあたしにははっきり分かって、見てるだけで息がつまりそうになる。


まだ二年生で経験の少ないエースと、少し気持ちにムラのある真田、クセのあるうちのピッチャーを上手くリードするのはキャッチャーの自分の責任です。

テレビのインタビューで、秀がそういっているのを見た。

三年生で、四番で、キャプテンでキャッチャー。
周りからも期待されている優勝候補である名門校の、チームの要。

きっと相当な重圧があるはず。
こんなところで、二回戦で、聞いたこともないような無名校なんかに、絶対に負けられない。


いつもひょうひょうとしてて、負け知らずの秀が、苦しんでる。あの、秀が......。


当然勝ちたいし、うちのチームに負けてほしいわけじゃない。

だけど、やっぱり秀の、今みたいな秀は見たくなくて、見てるだけで苦しくて、秀から目が離せなかった。


「森村、次、代打で入れ」


自分のチームの応援よりも、秀に釘付けになってしまっていて、森村が代打で起用されていたことも横で聞いていたのだけど、それさえも右から左へと聞き流す。