「裕貴が告白しようとするけど、ヘタレっぷりを発揮して結局できないに100円」

「じゃあ俺は、イイ雰囲気になるけど、裕貴が違う話題ふって何事もなく帰ってくるに500円」


裕貴とみこが出ていってしばらくしてから、みこの兄の秀徳(ひでのり)と目が合うと、弟妹を賭けの対象にするあたしたち。

明らかに両思いなのに、なかなかくっつかない裕貴たちは、はよくっつけやとこっちが言いたくなるくらいにじれったい。


「それ賭けにならなくない?」

「はは。だけどあいつ高校でもモテてるよ。
みこが妬まれてるくらい。
俺の妹だから、誰も手出さないけどね」


マネージャーで幼なじみなんて羨ましいポジション、そりゃ妬まれるでしょうよ。

同じ高校に次期レギュラー候補の兄がいるから簡単には手出せないだろうけど、と世間話のように軽く話している秀に相づちをうつ。


「ふーん。あいつのどこがいいのか全然分からないけど、天下の銀月館の野球部員だもん、モテるでしょうね。
秀もモテててんでしょ?」

「まあね」


謙遜も一切なく、さらっと認めた秀は昔からこんな感じだ。

だけど全然イヤミじゃないし、むしろ、えー俺なんて全然モテないよとか言う男よりも気持ちが良いくらいにさわやか。