プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負

「ピッチャーの榎本くんに代わりまして、ライトの久保くんがピッチャー、榎本くんがそのままライトに入ります」


ライト?確かにみのるはベンチじゃなくて、外野のライトの方に走っていく。

完全に下げられたわけじゃないのね。
まだ投げる可能性もあると。


まだ一年生の久保くんにマウンドを任せるのも不安が残るけど、なかなか有望な子だし、何にしても今の状態のみのるよりは良いって判断だよね。

チームのためにも、何よりみのるのためにも一回マウンドから離れて、冷静になったほうがいい。


あたしは選手交代をそう前向きに解釈したんだけど、周りはそうは捉えなかった。


「あのピッチャーの人代えられたの?」

「まあしょうがなくね?あの人の自滅で三点も取られてんじゃん」

「なんかあの人メンタル弱そうだしな」

「このまましてたら、10点とか取られそう」


誰がいってるのかまでは分からないけど、たぶんうちの高校の生徒。この雰囲気に何言ってもいい状態になったのか、みんな好き勝手言ってる。

ずいぶん勝手なこと言ってくれるけど、じゃあアンタはどんだけメンタル強いのかって話だ。

自分が甲子園のマウンドに立ってから言ってほしい。


あたしももちろんだけど、野球部員もそれに腹が立ったようで、みんなして聞こえてくる方向を睨みつけたけど、ほんの少しざわざわが止んだだけ。

そんなイヤーな雰囲気のなか、みのるパパは今までで一番の特大のため息を残して、無言で席を立った。


......けっ。帰れ帰れ。