それから二ヶ月が過ぎたけど、あたしと一輝くんは依然戦争状態が続き、お互いへのプチ嫌がらせがやまないなか、ついに暑い熱い夏がきた。


夏の甲子園地区予選まであと一週間。
二回目、そしてあたしたち三年生にとっては最後の夏。

去年と同じように理穂と二人で作った千羽鶴も完成してあたしの家、あとは部員へのお守りを作るだけとなった。





そんなある日の放課後......。

いつものように練習中の空いた時間に、部室の片付けをしていたら、練習用のユニフォームを着た敦士が血相を変えて部室に飛び込んできた。

一輝がケガしたから、ちょっといってやってくれ、と。


「......ケガっていったって、どうせボールがちょっと当たったとかでしょ?そこにコールドスプレーもあるし、ひどかったら氷で冷やせって言っといて。
それくらい自分でできるでしょ、今あたし忙しいから」


敦士の言葉に一瞬手を止めたけど、すぐにまた掃除を再開した。

マネージャーにはあるまじき発言だけど、理穂は進路相談で部活抜けてるし、一輝くんだってあたしに手当てされたくないでしょ。