「彼氏だった時も、俺のこと頼ってくれなかったじゃないですか。彼氏としても拒絶して、今度は友達としても俺のことを拒絶するんですか」


さっきまでみたいな大きな声を出しているわけじゃないけれど、一輝くんの悲しそうな表情と言われた内容に、それがやけに心にずしっと突き刺さる。


「......あたしは一輝くんのことを拒絶なんてしてない。いつでも一輝くんを受け入れてる。

拒絶したのは、一輝くんの方でしょ?

あたしはいつでも一輝くんだけを想ってきたし、ずっと一輝くんに尽くしてきたのに、簡単にあたしを見捨てた。
話さえも聞いてくれなかった」


一輝くんは一輝くんで、あたしが隠し事してたこととかみのるのこととか色々頭にきたんだろうけど、あたしはあたしであのとき傷ついた。

あれだけのことがあったにも関わらず罵りあって別れたわけじゃないあたしたち、いまになってお互いへの不満が溢れ出す。

いや本当は友達の仮面を被りながら、ずっとお互いモヤモヤしてたのかも。

お互いに不満を抱えてるのに、冷却期間も置かずに、いきなり友達になったのは良くなかった。

だから友達って関係がいまいちしっくりこなかったんだ。


「それは......悪いと思ってます。
あのときは冷静に考えられる状況じゃなかった。
だけど、拒絶したつもりはありません」

「そうだね、だから友達になりたいって言ったのを受け入れてくれたんだもんね。
今だから言うけど、あたしはまだ好きだったし、やり直したかった。一輝くんがもうあたしを好きじゃなくなったなら、そんなこと言っても仕方ないと思って言わなかったけど」


フラれてすがるなんてみっともないことしたくないし、あたしのキャラじゃないから言わなかったけど、もうあれから三ヶ月以上経ったし時効だよね。

もう終わったことだし今さらだけど、薄情な女みたいに言われるのはシャクに触る。