「いいかげん何があったかはなしてよ」


ベッドの上で漫画を読んでいた秀は、視線だけをあたしに向ける。


「何か聞いてほしいことがあるからきたんでしょ?」


みんなあたしの前から去っていって、もうなんだか全てが嫌になって、それで気づいたらここにきてた。

自分でもよく分からないうちに。


部活から帰ってきた秀は、部屋に勝手に上がり込んでいたあたしに最初数回声をかけて反応がないのがわかると、あたしを気にせず着替えたりしていたけれど。

何時間も床に寝転がって天井を見上げているあたしについにしびれをきらしたのか、ベッドの上から降りるとあたしの腕をひいて体を起こした。


「何があったかは話せないの。
話したら、きっと秀もあたしのことを軽蔑する」


ようやく口を聞いたかと思えば、そろそろ帰ると立ち上がろうとした勝手なあたしを、秀は立ち上がることすらさせず隣に座らせる。