まわりはこんなににぎやかなのに、ひとり切り離された世界にいるみたい。

運動をしたわけでもないのに、ただ椅子に座ってるだけでやけに心臓がバクバクする。


やたら体がフワフワする感覚を覚えるなか、テーブルの上をトントンと叩かれたので顔を上げると、いつものストーカーメガネだった。


「お前笑えるな。
彼氏にフラれたから浮気相手にすがったら、そっちにも捨てられたの?」


勝ち誇ったように笑うストーカーメガネ。

なんでここにいるの、またあたしのストーカーしてたの。
いつもならそう言い返してやるとこだけど、もうなんかどうでもいい。

それに、こいつに言い返す気力さえも今のあたしにはなかった。


「......いい気味だと思ってんでしょ」


なんとかそれだけ絞り出すと、メガネはバカにしたように鼻で笑ってきた。


「別に今のお前を見てもなんとも思わない。
昔のお前はみんなの人気者で、なんとしても復讐してやりたいと思ってたけど、こうなったら終わりだな。

男を選ぶ立場どころかどっちにも捨てられて、友達もほとんどいない。学校中から軽蔑されて、そばに残ってるのは同情してくれてる数人だけ。

もうお前の天下は終わりだ、復讐する価値もない。
お前を嫌ってたやつらも、むしろ今のお前には同情してるかもな」