「みどりちゃ、みどり先輩!
さっきまでのこと、すみませんでした!」


追ってくるなっていったのに、廊下まで追ってきた森村はガバッと頭を下げる。

すぐに、やめてと頭を上げるように言う。

こんなとこでそんなことされるのも恥ずかしいし、そこまで謝ってもらうほどのことでもない。


「別にそんな気にしなくてもいいよ」

「先輩!いや師匠!
光輝くその美しさ、浅はかな俺を叱るその豪胆さ......

俺、師匠に惚れました!

もっと俺を叱ってくれませんか?」

「は?いやいや、意味分かんないから」


今度二人で遊ぼうとか今から抜けない?とか、合コンで口説いてくる男ならよくいるけど、もっと叱ってとか初めて言われた。

ちょっと何言ってるか分からない。





トイレから帰ってきたらチェンジしようと思ったのに、それからも森村はあたしにまとわりついてきた。

あー......もう、変なのになつかれたな。


一時間は森村のウザさに耐えていたけど、それ以上は耐えられなくなったので、友達にごめん帰るとメールを送ってから、こっそり席を立った。