プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負

「中学の時のこと、思い出したんだ。
大きい大会、大勢の観客、あの日みたいで......」


坊主だからか、すぐに髪が乾く。
もうほとんど水をかぶった形跡なんてないけれど、明らかに顔色の悪いみのる。

まだ銀月館の猛攻が続いてるのか、球場からは大歓声が聞こえるなか、ここだけがやけに静かだ。


「......うん。
それは、あたしが聞いていいの?」

「にっしーに、聞いてほしい」


相変わらず表情は暗いけど、それでもあたしの目をまっすぐにみたみのるに、あたしも力強く頷いた。


「また、あの日みたいになるんじゃないかって、そればっかり頭に浮かんで、こわくなったんだ」

「何があったの?その、あの日っていうのは」

「僕のいたシニアリーグは人数も指導者も全部ギリギリで、僕たちの代が抜けたら、解散が決まっていた。
それでも最後の大会で、なんとか全国に行けたんだ。

僕にとってもシニア最後の大会だったあの日、僕は......」


いったん言葉を切ると、みのるは苦しそうにうつむいてから、大きく息を吐くと、決心したように顔をあげた。

逃げたんだ、と。


「え......?」