「野球部のマネージャー?
中学でソフトはやめたんじゃなかったの?」


運命の出会いをして、あたしが野球部に入った日の夕食時。

さっそくパパとママにマネージャーをやることにしたと話していたら、ママが少し驚いたようにあたしを見る。


銀月館に通う弟は、練習で朝も早ければ夜も遅いので、最近はママとあたしの二人で先に食べることが多いけど、今日は仕事が早く終わったパパもいる三人の食卓。


「そうだけど。
部員一人しかいないのに、本気で甲子園目指したいっていってる子がいて。面白そうじゃない?」


ハンバーグを少し食べてから、箸をおいて、ママとパパの顔をキラキラとした目で見つめると、二人は顔を見合わせた。


「甲子園か......。
夢があっていいね」


敦士のようにバカにしたりはしなかったけど、微笑ましそうにそう言うパパは本気には取り合ってないと思う。

同じような反応のママもそう。


それが普通の反応よね。
パパもママも一輝くんを知らないわけだし、仕方ない。