もうすぐ7月に入り、いよいよ夏の予選まで一ヶ月を切ったある日。


もちろん今日も部活、といきたいところだけど、甲子園の前に、まず私たちは学生。1学期最後のテストを三日後に控え、どの部活も部活動は禁止と校則で決まっている。


私服洗髪はOKのゆるい学校でも、県内トップの進学校。
そこは厳しいのよね。


「オイオイ、にっしーテスト前って知ってんの?
まさか今日も部室行くんじゃないよな」


二年の全体集会のあと、下駄箱のところでばったり会った敦士と、行く道が一緒になってしまった。

部室に急ぐあたしに絡んでくる敦士の格好を見たあと、そっちこそと返す。


「そういうアンタこそ、結局テスト週間も毎日部室きてんじゃん。その大きいバッグの中身はユニフォームとグローブじゃないの?」


そう、部活動は禁止されているけど、自主練までは禁止されていない、とかなんとか言い訳して、結局あたしたちみんな毎日のように部室にいっている。

ソッコーで帰っていった、マジメな理穂とみのるをのぞいて。


勉強は帰ってからすればいいの、少しくらい運動した方がかえって勉強もはかどるというものよ。

てか、ぶっちゃけ一日でも一輝くんに会えないなんて耐えられない。