みのるを理穂の前に放り出したと同時に、まとわりついていた敦士を引きずりつつ戻る。


「ちょっと敦士、分かってんの?
いくら理穂が美人だからって、みのるの好きな人よ?
みのるの恋に協力しようと思わないの?」

「分かってるって。
話すのもダメなのかよ?
別に邪魔するつもりはねぇけど、協力するつもりもねぇから」

「......アンタ、もしかしてまだ理穂のこと狙ってんの?」


不満顔の敦士に、そういえばこいつ、前に理穂にチャレンジしたとか言ってたっけと思い出す。


「そんなんじゃねぇよ。
人の恋に協力とかメンドイからできねーってこと」

「ふーん、それならいいけど。
じゃ、みのるから奪る気はないのね?
理穂から好かれても興味ないんだ」

「は?それは付き合うだろ。
ミッチーから好かれて、断る男いなくね?」


こいつ......。
あっさりとみのるを捨てた敦士に思わず絶句。

でも、よく考えたら敦士とみのるって、親友どころか友達といえるかもビミョーだった。

それに、敦士の言うように理穂に好かれてフる男がいるわけないか。彼女がいるわけでもないし。