プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負

おねがいします!と必死に声を張り上げる一年生も無視して、視線を地面にさまよわせる敦士。

完全に意識がどっかにいっちゃってる。


「敦士?どうしたのよ」

「あ、ああ......。
とにかく俺の家族には頼めねーから」


声をかけると、敦士ははっとしたようにノックを再開した。


なんか様子が変なのが気になるけど、あんまり深くつっこまない方が良さそう。

いまだに敦士がなんで野球やめたのか、それからなんで野球部に入る気になったのかも分からない。


あんまりつついて、もし敦士がやめた理由に家族が関係してたりして、またやめたって敦士に今抜けられたら困るし。


「そう......。

......あ、ちょうどいいやつがいた。
試合はムリだけど、バッティング練習くらいなら付き合ってくれるかも」

「なんか当てがあんの?」

「ちょっとね、オッケーしてくれるか分からないけど、一応聞いてみる」


敦士のパパもおじいちゃんもダメ、練習試合は顧問のやる気がないから出来ないし......ときて、あたしは身近なピッチャーが一人思い浮かんだ。


やつが協力してくれるかは謎だけど、アンタ一輝くんを打ち取る自信ないんだとかなんとか言いくるめれば、負けず嫌いだしのってくるはず。


どうにかしてみんなに、予選前に少しでも実践経験を積ませなきゃ。


コンパに行く前に、なんとか模擬試合らしきものをやれないかと一人画策して、それから練習後、一輝くんとみのると三人で、部室を出た。