「それ、俺が作りました。」


「えっ。」


い、乾くんが…キャラ弁を…


うずら卵がひよこさんだよ?


星形の人参も入ってるよ?


「女子力、高すぎるわっ。」


「ハッハッハッ。モモ、あんた純太に弟子入りしなよ。こいつ料理プロ級だから。」


「そうなの?」


「えっ、ああ、まあ。うち親が共稼ぎでそれで兄貴と協力してよく晩飯とか作ってたんだけど何か徐々に目覚めちゃって途中からは俺が一人で作るようになったんです。」


「へぇ。凄いね。その道に進めば良かったのに。」


「ん、まぁ、所詮、素人の趣味レベルだから。」


趣味レベルじゃないよ。


「だけど、俺は桃原さんの作る弁当を食べる課長が羨ましいな。」


「そうねぇ、モモの作るお弁当も中々のものだよ。ただ、卵焼きはあまり上手じゃないみたいだね。まるでそれだけ別の人が作ったみたい。」


女王様、仰る通りでございます。


そのイビツな形した卵焼きのみ別の人が作っております。


課長を見ると黙って食べながらもその口元は明らかに笑いを堪えている。


「っで、その様子だと上手くいったの?お二人さん。あの日の夜、もうヤッちゃった?」


「うっ、け、ケホケホッ。」


女王様の包み隠さない言葉にむせてしまった。


「いや、まだ、ヤッてない。」


澄ました顔で課長が答える。


「なに、真面目に答えてんですかっ、課長。」


「良かったぁ、流石に直に聞かされるのショックですよ、俺。」


「ふうん、三鬼にしちゃ、随分、スローペース
じゃん。」


えっ、どういう意味?


「スローペース?」


「今回は手、出すの遅いって事ですか?」


乾くんが私の聞きたいことを聞いてくれた。


「大学の頃なんか、大抵、付き合ってその日か一週間も経たないうちにヤッてたよね、三鬼?」


私と乾くんを飛び越え直で課長に聞く女王様。


イヤイヤイヤ、聞かなくていいですってそんな事。


知りたくないってば。


て言うか、課長黙ってないで何とか言ってよ。


「ああ、それくらいだったな。僕としては体の相性は早い内に知っておいた方が良いという持論があるので。」


課長……


何、真面目な顔して語ってんですか。


顔と言ってる事とが一致しておりませんよ。