Tell me !!〜課長と始める恋する時間

そして、









「もぉ、飲めないなら飲めないって最初に言ってください。」


結局、一時間もしない内にサシ呑みは終了となった。


課長が完全に潰れちゃったから。


頼もしい課長よ、どこへ行った?


「言ってたら、なんとかなった?」


座敷で寝転がり真っ赤な顔した課長。


既に眼鏡はテーブルに投げてあり、素顔の課長がそこには…ああ、酔っていても尚、美しいお顔。


レアだ、レアすぎる。


写メに収めたいところだけど、それどころではないな。


「なんとかって……だけど、断れば良かったのに。」


「断れる雰囲気じゃないだろ?」


「そうですけど。」


酔っ払ってるから言葉遣いもいつもと違う。それだけでもドキドキするのに目がトロンとしているからなんとも色っぽい。


いつもきちんとしている身なりも、今はシャツのボタンも外して少し胸元もはだけちゃってるし。こんな崩れた課長を見るのは初めてだ。


「貸して。」


と言い突然、私の膝に頭を置く課長。


「ひゃあ。ちょ、ちょっと。何するんですかっ。」


急な事に動揺が隠せない。


こ、こんな膝枕とか…恥ずかしいんだけど。


幸いお父さんも最初からハイペースで飲んでたからもう部屋に入って一休みしたみたいだ。


お母さんもそれなりに気を使ってるのかお父さんの部屋へと行ったきり戻って来ない。


だからと言って膝枕とかまずいでしょ?この家で。


「良いだろ?減るもんじゃなし。直に寝ていると首が痛い。」


減るもんじゃ無しって課長から、まさかそんなお言葉が出るとは…。


そう言いながら腕で目元を多い、「ふう。」と一息つく課長。


いつもはきちんと整えられた前髪も完全に崩れてぐしゃっとなっている。


そのせいか、少し若く見える。


「素敵なご両親だ。」


「えっ?」


私の膝に頭を乗せる課長が話し出す。


課長の声が自分の真下から聞こえ、そんな事にすらもドキドキが止まらない。


「今日、お会いしてそれがよく分かった。この前の弟さんといい。家族のみんなが君を大切にしているのがよく分かる。」


「そうですか?色々と面倒な事もありますよ。」


「色々と?ほら、また、使った。」


酔っていてもやはり課長は課長だ。


「あっ、色々とは駄目なんでした。可愛くない弟に後を付けられたり、煩い父親が上司を家に呼びつけたり、面倒でもあるけれどその分愛情をたくさん感じる家族です。」


どうだ、色々の解説ちゃんと出来ただろう?


「愛情か。」


「課長?」


「僕は父とその愛人であった母との間に生まれた子供です。」


「えっ、愛人?」


酔っているからか普段、話しそうにないプライベートな事を突然言い出す課長に戸惑いつつも先を聞きたくなる。


「後に跡継ぎが出来なかった理由により父方に引き取られる事となったけど、どこにいようが僕は邪魔者でしかなく、親から愛情というものを感じた事がない。」