Tell me !!〜課長と始める恋する時間

コインパーキングが漸く見えてきた。さっきの店から結構、距離がある。課長、ここから走って来てくれたのか。


「少し見ますか。」


課長がそう言って立ち止まった先には綺麗に彩られたイルミネーションがあった。


どうやらそこは公園の様だ。


大きな公園では無いけれど中央にある大きめの木にはたくさんの電飾が施されていてとても綺麗だ。


「良いんですか？課長、この前、イルミネーションとか興味ないって。」


「じゃあ、見ないで帰りましょうか。」


「見たい。見ますっ。お願いします。」


課長はほんの少し笑うと「少し冷えますね」と言って繋いだ手をそのまま課長のコートのポケットに入れた。


うわっ。これ、恋人同士がする憧れのやつだ。


一人盛り上がっていると


「やはり感動するほどの物はないですね。」


冷めたご様子の課長。


「そんな事、ないですよ。キラキラと綺麗じゃないですか。見ていると心が洗われると言うか何も考えなくなりませんか？」


「……確かに。一定のリズムを刻み点灯する灯りを見ているとある種の催眠効果の様な錯覚に陥りそうになりますね。」


「課長、イルミネーション見てそんな事をいう人いませんよ。」


呆れて私が言うと、


「この前はーーー申し訳ない事をしました。」


突然、課長が謝ってきた。


「えっ、なんの話ですか？」


「君に酷い事を言った。」


「ああ…」


この前の僕が駄目なら乾くんってやつね。


「我ながら大人気なかったなと。」


「大人げない？」


「ええ、君が乾くんと何やら話しているのを見ていたら今まで抱いたことの無い感情が芽生えました。その感情に名前をつけるならーーー」


ーーー嫉妬でしょうか。


課長はイルミネーションから目を離さず静かに言った。