Tell me !!〜課長と始める恋する時間

「じゃあ、改めて乾杯でもする?何頼む?三鬼、一杯くらい飲めるでしょ?」


私の目の前には頗るご機嫌の雉原さんとその隣にはニヤニヤ顔の乾くん。


そして、私の右側から嘗てない程の冷たい視線を投げつけるスノーマンこと、三鬼課長。


一気に店内の気温が3度くらい下がった気がする。


「いや、遠慮する。まだ帰ってから仕事が残ってる。それに車だ。」


課長、仕事が残ってるのに来てくれたの?


「あ〜ら、デキる男、三鬼課長がこれから家に持ち帰ってまで仕事だなんて……頭の老化始まってんじゃないの?」


ヒィィ、な、何て事を女王様。


「うるさい。君はそろそろ体型に老化が見受けられるようだが。」


「はい、それ、セクハラっ。」


「残念ながら僕は君に対してその様な目で見る事は地球が滅びたとしても有り得ない。」


なんか、今日、よく地球滅びるな。


て言うか…この場なんとかせねば。


乾くんに目で合図を送る。


「ん、なんですか、桃原さん。ああ、俺と二人で抜けたいとか?」


「ち、違うっ。なに言い出すのよ。」


こいつ、わざと言ってる…。顔が笑ってる。


「やはり、そうなの?」


「課長、誤解です。誤解ですってば。」


「ふうん、じゃ、この可愛い子、私が持ち帰ろうかしら。」


えっ、雉原さん、なんて?


ま、まさか、冗談ですよねぇ……


「君が言うと洒落にならない。後は乾くんに任せて桃原さん、行きましょう。」


そう言って課長に手を引っ張られ立たされる私。


そのまま手を引かれ居酒屋を後にした。



て言うか…雉原さんの持ち帰りは洒落にならないってどゆこと?


えっ、雉原さん、そうなの?


女性も持ち帰る?


恐るべし女王様…。


また一つ、女王様の実態を知ってしまった。


「雉原はノーマルです。念の為。」


私が非ぬ妄想を繰り広げているのを知ってか課長がそれを否定した。


「ですよね。」


そんな訳ないよね。雉原さんが女性となんて……


「ただ、彼女が持ち帰るとそこから地獄の飲み会が始まる。確か病院送りになったものもいたのでは…」


地獄の飲み会……


雉原さんの実態を知ってしまった今なら直ぐに頷ける。