「そんな事……」
「へぇ、無いとでも言うの?」
腕を掴む課長の手に力が更に入った気がした。私の知っている課長と様子が違い、少し怖くなる。
だけど
それでも私の気持ちが変わる事はない。
「私はそんな事ありませんっ。」
ハッキリと言い切れる。
「このままここで僕が君の事を押し倒しても?」
「えっ……」
「冗談です。遅くなりましたね。送りましょう。」
あっけなく私の腕を離すと課長は言った。その声はさっきまでの挑発的なものでは無く、私の知っているいつもの落ち着いた課長の声だった。
「ま、待ってくださいっ。」
私に背を向ける課長につい声を掛けてしまった。
「なんです?」
私の呼びかけに振り向く課長。
呼び止めた所で言いたい事が纏まってる訳じゃないけど、何故かこのままじゃ嫌だって思った。
「えっと……」
「言いたい事が無いのなら早く荷物を纏めて帰り支度を。」
冷ややかな課長の声がフロアに響く。
「課長は……、課長は本気で誰かを好きになった事、無いんですか?」
言っておきながら聞くんじゃなかったと直ぐに後悔する。
だって課長の顔が明らかに不機嫌になったから。
「無いですね。そもそも僕は男女の恋愛にそう言った期待を持たない。」
「どういう事ですか。」
「好きだの、惚れただのそんなものはくだらない戯言にしか過ぎない。」
くだらない……そんな……
「酷い…」
課長の心無い言葉に悔しさや怒りが込み上げてくる。
「桃原さんも怒りを露わにする事あるんですね。」
「当たり前です。私にだって感情があります。課長の事が好きって言う気持ちも決して戯言なんかじゃありません。」
私がそう言うと課長は何の抑揚も無い声で言った。
ーーーだったら、僕を本気にさせてみてよ。
「へぇ、無いとでも言うの?」
腕を掴む課長の手に力が更に入った気がした。私の知っている課長と様子が違い、少し怖くなる。
だけど
それでも私の気持ちが変わる事はない。
「私はそんな事ありませんっ。」
ハッキリと言い切れる。
「このままここで僕が君の事を押し倒しても?」
「えっ……」
「冗談です。遅くなりましたね。送りましょう。」
あっけなく私の腕を離すと課長は言った。その声はさっきまでの挑発的なものでは無く、私の知っているいつもの落ち着いた課長の声だった。
「ま、待ってくださいっ。」
私に背を向ける課長につい声を掛けてしまった。
「なんです?」
私の呼びかけに振り向く課長。
呼び止めた所で言いたい事が纏まってる訳じゃないけど、何故かこのままじゃ嫌だって思った。
「えっと……」
「言いたい事が無いのなら早く荷物を纏めて帰り支度を。」
冷ややかな課長の声がフロアに響く。
「課長は……、課長は本気で誰かを好きになった事、無いんですか?」
言っておきながら聞くんじゃなかったと直ぐに後悔する。
だって課長の顔が明らかに不機嫌になったから。
「無いですね。そもそも僕は男女の恋愛にそう言った期待を持たない。」
「どういう事ですか。」
「好きだの、惚れただのそんなものはくだらない戯言にしか過ぎない。」
くだらない……そんな……
「酷い…」
課長の心無い言葉に悔しさや怒りが込み上げてくる。
「桃原さんも怒りを露わにする事あるんですね。」
「当たり前です。私にだって感情があります。課長の事が好きって言う気持ちも決して戯言なんかじゃありません。」
私がそう言うと課長は何の抑揚も無い声で言った。
ーーーだったら、僕を本気にさせてみてよ。



